Citroën Karin (1981)
1980年パリサロン。シトロエンのスタンドで注目を集めたのは、新しいモデルではなく、「カリン」と名付けられた奇妙な未来的コンセプトカーでした。そのデザインを手掛けたのはトレヴァー・フィオーレです。
トレヴァー・フィオーレは、フィソーレ社でキャリアをスタートし、デ・トマソ・バレルンガ、エルヴァGT、TVRトライデントを生み出しました。その後、モンテヴェルディ・ハイやコッジオラによるシルヴィアGTなど、多くのメーカーのコンサルタントとして活躍しました。シトロエンは1974年にロベール・オプロンが退社して以来、デザイン責任者がいない状況でしたが、1980年1月からフィオーレがコンサルタントとして参加し、7月にはシトロエンのデザイン部門のトップとなりました。彼は2年足らずの在任期間で、真のデザインスタジオを設立し、このカリンをはじめとするコンセプトカーの伝統を築きました。1980年のカリン、1981年のクセニアがその成果です。
カリンはその名を...
カリンの特徴的なカットオフデザインは、70年代のスタイルに合致しており、イタルデザインのマセラティ・ブーメラン、ストラトス・ゼロ、ベルトーネのアルファ・カラボ、ランチア・シビロ、マルチェロ・ガンディーニの数多くの作品と比較されることが多いです。
事実、カリンは80年代に入るとバイオデザインのトレンドが広がる中で、この傾向の締めくくりとも言えます。しかし、次のシトロエンの大きな新作、BXの角ばったスタイルにもマッチしています。こちらもガンディーニがベルトーネのために手掛けたデザインです。ベルトーネでは、NSUトラペーズも例に挙げられ、カリンは3座席配置、中央にドライバーというアイデアを引き継いでいます。
この配置により、カリンの特徴的なピラミッド型の外観が生まれました。3連のヘッドライトがフロント全体を覆っているのも特徴で、これはトレヴァー・フィオーレがフィソーレでアルピーヌA310のためにデザインしたスタディを通じて、モンテヴェルディ・ハイへと発展したものです。
内部では、当時のトレンドであるステアリング周りに操作系を集中させるデザインが見られます。これはシトロエンの量産モデルであるCXにも既に取り入れられていた傾向です。